システム開発DX

レガシーシステム刷新の「ビッグバン・リリース」はなぜ失敗するのか

株式会社プリファード
レガシーシステム刷新の「ビッグバン・リリース」はなぜ失敗するのか

「〇年〇月〇日、新システムへ一斉切り替え!」の恐怖

稼働から10年以上が経過し、スパゲッティ状態になった基幹システム。これを刷新する際、多くの企業が「数年かけて新しいシステムを裏で作り込み、ある日を境に一斉に切り替える」というアプローチをとる。いわゆる「ビッグバン・リリース」だ。

しかし、この手法の成功率は極めて低い。数年間の開発期間中にビジネス環境や要件は変わり、いざ切り替えてみると「旧システムでできていた業務ができない」「想定外のバグが頻発して業務が停止する」といった大炎上を引き起こす。最悪の場合、新システムを諦めて旧システムに戻す(ロールバックする)という悲惨な結末を迎える。

ビッグバン・リリースが失敗する3つの理由

1. 「現行踏襲」という呪い

リプレイスの要件定義で必ず出てくるのが「今のシステムと同じことができるようにしてほしい(現行踏襲)」という言葉だ。しかし、旧システムの仕様書は古く、実際の挙動はソースコード(あるいは担当者の頭の中)にしかない。この「隠れた仕様」をすべて洗い出し、新システムで完璧に再現することは不可能に近い。

2. フィードバックループが長すぎる

数年間、ユーザー(現場の担当者)は新システムに触れることができない。開発の終盤、受け入れテスト(UAT)の段階になって初めて画面を見て、「これでは仕事にならない」とちゃぶ台返しが起きる。手戻りするには遅すぎるタイミングだ。

3. 切り替え時のリスクが巨大すぎる

すべての機能を一度に切り替えるため、どこか1箇所でも致命的なバグがあれば、システム全体、ひいては企業活動全体が停止してしまう。関係者のプレッシャーは尋常ではなく、リリース当日は徹夜のトラブル対応が常態化する。

段階的移行(ストラングラーパターン)という現実解

この巨大なリスクを回避するための現実的なアプローチが、「ストラングラーパターン(Strangler Fig Pattern)」と呼ばれる段階的移行だ。

旧システムを活かしたまま、新システムを並行して立ち上げる。そして、「顧客検索」「在庫照会」といった独立しやすい小さな機能から順番に、新システムへと切り替えていく。ユーザーからのアクセスは、ルーターやAPIゲートウェイで旧システムと新システムに振り分ける。

小さく切り替えて、小さく失敗する

段階的移行のメリットは、リスクを分散できることだ。1つの機能を切り替えて問題が起きても、影響範囲はその機能に限定されるし、すぐに旧システムに切り戻すことも容易だ。また、早い段階からユーザーに新システムを触ってもらうことで、フィードバックを開発に活かすことができる。

「一気に新しくしたい」という誘惑を抑え、数年かけて旧システムを少しずつ「絞め殺して(Strangler)」いく。地味で根気のいる作業だが、これが最も確実なレガシーシステム刷新の道だ。

#レガシーシステム#システム移行#プロジェクト管理#DX

Related articles

You can talk to us before requirements are finished.

We can start by sorting what to do first. We run businesses ourselves, so the conversation stays about labor and ops. Consultation and estimates are free.

Online meetings / reply by next business day / free consult & estimate